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大人の中耳炎「滲出性中耳炎」症状と見分け方

会議中に話を聞きもらす、茶の間での会話を聞き逃す…周囲の音に混じってしまい聞きもらしをしてしまう経験はありませんか? それは「大人の中耳炎」ともいうべき病気「滲出性中耳炎」かもしれません。その具体的な症例を見ながら、発症のメカニズムと病気の見分け方を見ていきましょう。



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大人の中耳炎「滲出性中耳炎」症状と見分け方


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言葉が途切れ途切れに聞こえる大人の中耳炎

滲出性中耳炎が原因で、家族関係が悪化してしまった女性もいます。84歳の女性に聞きもらしが目立ち始めたのは3年前。『ためしてガッテン』で紹介されていました。

その日の夜、家族で焼肉を食べに行くことになっていました。ところがその日の夜、時間になってもこの女性は準備をしていません。家族が外出しようとすると「えっ今日なの?」と反論します。「今夜」ということを聞きもらしていました。

そして、聞きもらしはどんどんエスカレート。家族も年齢が年齢なので、ボケや認知症なのかと思い込むようになりました。こうして家族との会話が少なくなり、女性は引きこもりがちになっていったのです。

じつは、女性が聞きもらすのは周囲に「雑音があるとき」だけ。「大人の中耳炎」と特徴的な症状です。周りに雑音があると、言葉だという認識はあるものの途切れ途切れに聞こえるといいます。


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原因は耳管の老化による中耳にたまった水

ご存じのように、耳で音を捉えているのは「鼓膜」です。その鼓膜の内側の空間を「中耳」と呼びます。ここに炎症をおこすのが「中耳炎」です。

この中耳は音の振動をさらに奥へ伝えるための密閉された空間。じつは少量の水が入っています。これは老廃物の排出や鼓膜の保湿のためです。そして、この水を老廃物とともに鼻へ逃がすための「耳管」という管が存在。ふだんはピタリと閉じていて、あくびや何かを飲み込んだときに開きます。

そして「大人の中耳炎」になっている人は、この耳管が開きにくくなっています。耳管が老化して水が抜けずに、中耳に水がたまっているのです。

この状態で下を向いたりすると、中にたまった水が鼓膜側に移動。このために、聞こえにくくなるのです。姿勢の傾きで移動した水によって、鼓膜が振動しにくくなってしいます。まさに音がぼやけたように聞こえるのです。


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50歳以上から急増する病気「滲出性中耳炎」

この病気の名前は「滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)」。50歳以上から急増する病気です。子どもがよくなる一般的な中耳炎は、鼻からウイルスや細菌が入って炎症をおこすものです。

一方の滲出性中耳炎はいうなれば「大人の中耳炎」。痛みがないため、気づかない人が多いのです。頭を傾けると聞きにくくなる…という症状があったら滲出性中耳炎の可能性があります。50歳を過ぎて老化が進むと耳管が機能しなくなってくるため、高齢者に多く発症するのです。

また、加齢によって耳が遠くなると勘違いする人が多いのも「大人の中耳炎」の厄介なところ。本当は治る中耳炎であることに気づかない人が多く、場合によっては補聴器を付けている人もいるとか。滲出性中耳炎の治療をしたら補聴器も不要になったという人もいるといいます。

このため、50歳以上で耳が遠くなったら、耳鼻咽喉科で正確に診断してもらうことが大切。「隠れ難聴」ともいうべき滲出性中耳炎でないか、しっかり診てもらうようにしましょう。

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