空間忌避剤「IR3535」でマラリア媒介蚊が減少
アフリカのマラリア対策に新たな選択肢として注目される「空間忌避剤」。モザンビーク中部の農村地帯で行われた臨床試験で、IR3535という成分を用いた空間忌避剤が、屋内外でマラリアを媒介する蚊の密度を下げることが示されました。殺虫剤耐性が広がるなか、補完的な蚊対策ツールとしての可能性が期待されています。
空間忌避剤「IR3535」の何が分かったか
モザンビーク中部の農村で実施された無作為化試験により、IR3535(化学名:3-(N-アセチル-n-ブチル)アミノプロピオン酸エチルエステル)を使った空間忌避剤を散布した世帯では、散布しなかった世帯と比べて、屋内・屋外ともにマラリアを媒介するハマダラカ(アノフェレス属)の数が少ないことが確認されました。特に当地で最も多く見られたAnopheles funestusにおいて、その差が顕著に現れました。
マラリア感染率そのものは両グループで同様に低下したため、忌避剤単独の効果として断定はできませんが、蚊密度の低減がマラリア伝播の抑制に寄与する可能性があると研究者らは述べています。
空間忌避剤「IR3535」研究の概要
この研究は、マラリア感染率が高いモザンビーク中部の農村「タンバイ」地区で実施されました。試験デザインは「無作為化・介入前後・対照群あり(BACI)試験」と呼ばれる手法で、地域内の4ブロックから合計80世帯を無作為に選び、40世帯をIR3535散布グループ、残り40世帯を忌避剤なしの対照グループに割り当てました。
マラリアの感染状況は、5歳未満の子どもを対象にPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査を用いて評価し、試験開始前・1年後・2年後の3時点で測定しました。蚊の密度・種の多様性・スポロゾイト率(蚊がマラリア原虫を保有している割合)についても詳しく調べ、時空間ベイズモデルなどの統計手法を用いて解析が行われました。
空間忌避剤「IR3535」研究の主な結果
試験期間中に合計5,716匹の蚊が採集され、そのうち57.2%がマラリアを媒介するハマダラカ属(Anopheles)、42.7%がイエカ属(Culex)でした。最も多く確認されたのはAn. funestusで、屋内採集の92.7%、屋外採集の82.5%を占めました。
忌避剤グループと対照グループのAn. funestusメスの採集数を比較すると、屋内では765匹対1,432匹、屋外では175匹対293匹と、忌避剤グループで一貫して少ない結果でした。1世帯あたりの平均採集数も、屋内で18.6匹対35.0匹、屋外で4.3匹対7.1匹と、忌避剤グループで低い値を示しました。
一方、5歳未満の子どもにおけるPlasmodium falciparum(熱帯熱マラリア原虫)の感染率は、試験開始前の72.6%から1年後に51.3%、試験終了時には43.3%へと低下しましたが、この低下は忌避剤グループ・対照グループの両方でほぼ同様に見られました。スポロゾイト率は忌避剤グループでやや低い傾向がみられましたが、差は小さく、忌避剤の効果と直接結びつけることは難しいと研究者らは述べています。
空間忌避剤「IR3535」の生活への示唆
この研究は、IR3535を用いた空間忌避剤がマラリア媒介蚊の密度を下げる可能性を示しており、殺虫剤への耐性が問題となっている地域での補完的な対策ツールとして注目されます。ただし、今回の試験ではマラリア感染率の明確な差を忌避剤の効果として特定することはできませんでした。
空間忌避剤は現時点では既存の蚊帳や室内残留噴霧などの主要対策を「置き換える」ものではなく、組み合わせることで効果が期待される補助的な手段と位置づけられています。今後、より大規模な試験や長期的な追跡調査を通じて、効果の評価がさらに進むことが期待されます。
出典
本記事は紹介した研究結果を分かりやすくまとめたものであり、特定の症状や病気に対する診断・治療を推奨するものではありません。健康上の不安がある場合は医師にご相談ください。本記事はAIによる翻訳・要約を活用して作成し、公開前に運営者が内容を確認しています。詳細は「制作プロセス開示」「免責事項」ページをご覧ください。
