VR体験は認知症の行動・心理症状に効果的か?介護施設での無作為化対照試験の結果
認知症の方に多くみられる行動・心理症状(BPSD)への対応として、薬を使わない介入法が注目されています。フランスで行われた多施設共同試験では、バーチャルリアリティ(VR)を用いたグループ活動と、デジタル機器を使わない認知刺激活動を比較した結果、BPSDの改善においてVRの明確な優位性は確認されませんでした。一方で、どちらの活動も参加直後の気分(即時ウェルビーイング)を高める効果が示されました。
何が分かったか
介護施設に入居する認知症の方を対象に、VRを用いた没入型グループ活動と、デジタル機器を使わない認知刺激グループ活動を比較した無作為化対照試験が実施されました。その結果、認知症に伴う行動・心理症状(BPSD)の軽減においてVR介入が対照群を上回るという証拠は得られませんでした。しかし、VR群・対照群ともにセッション前後で即時的な気分の向上が認められ、薬を使わないグループ活動全般が入居者のウェルビーイングに貢献する可能性が示されました。また、VR介入の安全性と実施可能性も確認されています。
研究の概要:対象と方法
この研究はフランスの複数の介護施設で実施された多施設共同無作為化対照試験(ClinicalTrials.gov NCT04769024)です。BPSDを有する介護施設入居者56名が参加し、VRを用いたグループセッション群と、非デジタルの認知刺激活動を行う対照群のいずれかに無作為に割り付けられました。両群とも、週2回・1回あたり45分のグループセッションを6週間にわたって実施し、合計12回のセッションが行われました。VR介入には「Lumeen」と呼ばれる没入型VRシステムが用いられました。
BPSDの重症度は、介入前後に「神経精神症状評価(NPI)」および「アパシー評価インタビュー」を用いて評価されました。即時ウェルビーイングはセッションごとに専用の評価ツールで、社会的交流の頻度は「Social Observation Behaviors Residents Index(SOBRI)」を用いて毎回記録されました。
主な結果
BPSDの重症度の変化について、VR群と対照群のあいだに統計的に有意な差は見られませんでした。また、全体的な即時ウェルビーイングのスコアにも、両群間で有意な差は確認されませんでした。ただし、両群それぞれの中ではセッション前と比べてセッション後の気分が改善されており、12回のセッションを平均するとその効果は両群に共通して観察されました。
社会的交流の頻度については、対照群(非デジタル認知刺激群)のほうがVR群よりも多く観察されました。VR介入に関連した副作用は軽微なものが2件のみ報告されており、安全性は高いと評価されています。また、グループ形式でのVR介入を介護施設で実施することは、実務上も実現可能であることが確認されました。
生活への示唆
この研究は、認知症の行動・心理症状に対して薬を使わないグループ活動が一定の意義を持つ可能性を示しています。VRが特別に優れているとは言えないものの、VRを含むグループ活動全般が参加直後の気分を改善させる効果は両群で共通して認められており、介護施設における非薬物的な集団活動の導入を支持する根拠の一つになり得ます。
一方で、VR介入がBPSDの軽減において認知刺激活動を明確に上回るかどうかは、今回の研究規模(56名)では判断が難しく、より大規模で実用的な試験による検証が必要とされています。また、非デジタルのグループ活動のほうが社会的なやりとりが活発であったという結果は、活動の形式が参加者同士のコミュニケーションに与える影響を考えるうえで興味深い知見といえます。認知症ケアにおける非薬物的介入の選択肢を検討する際には、今後のより大規模な研究の知見も踏まえることが望まれます。
出典
JMIR formative research(2026 Oct 06)
Effectiveness of a Virtual Reality Immersion Process as a Nonpharmacological Intervention for Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia and Immediate Well-Being in People Living in Nursing Homes: Randomized Controlled Trial.(PubMedで見る)
本記事は紹介した研究結果を分かりやすくまとめたものであり、特定の症状や病気に対する診断・治療を推奨するものではありません。健康上の不安がある場合は医師にご相談ください。本記事はAIによる翻訳・要約を活用して作成し、公開前に運営者が内容を確認しています。詳細は「制作プロセス開示」「免責事項」ページをご覧ください。
