デジタル義歯vs従来型義歯、患者満足度はほぼ同等――タイの移動歯科サービスで行われたランダム化比較試験
3Dプリンターで作製したデジタル義歯は、従来の熱重合義歯と比べて患者満足度においてほぼ同等の結果をもたらすことが、タイの移動歯科サービスを舞台にした小規模なランダム化比較試験で示されました。通院回数を1回減らせる一方、装着後しばらくの間は発音のしにくさが続く可能性があることも明らかになりました。
結論:何が分かったか
この研究では、デジタル技術(口腔内スキャナーと3Dプリンター)を用いて作製した義歯(デジタル義歯)と、歯科技工士が従来の工程で手作りした義歯(従来型義歯)を比較しました。全体的な患者満足度には両グループ間で統計的に有意な差は認められませんでした。ただし、装着後24時間の時点では、デジタル義歯のグループのほうが発音・味覚・食事への影響をより強く感じていました。1.5か月後にはほとんどの項目で差がなくなりましたが、発音のしにくさだけはデジタル義歯グループで引き続き高い値を示しました。
研究の概要:対象と方法
この研究はタイ王立移動歯科サービスにおいて実施された前向きランダム化比較パイロット試験です。対象は50歳以上80歳以下の歯がまったくない(無歯顎の)患者30名で、従来型義歯グループ(15名)とデジタル義歯グループ(15名)にランダムに割り付けられました。最終的に1.5か月後の評価を完了したのは25名(従来型15名、デジタル10名)でした。
従来型義歯は4回の通院を必要とする熱重合レジンを用いた工程で作製されました。一方、デジタル義歯は口腔内スキャナーで印象を採取し、3Dプリンターで出力する3回通院の工程で作製されました。患者本人と評価担当者の双方が、どちらのグループに属しているかを知らない状態(ブラインド)で評価が行われました。
満足度の評価には視覚的アナログスケール(VAS)を、口腔保健関連QOL(OHRQoL)の評価にはOral Health Impact Profile-14(OHIP-14)を用いました。評価は「最初の食事後」「装着後24時間」「装着後1.5か月」の3時点で行い、グループ間の比較にはマン・ホイットニーのU検定が使用されました。
結果
全体的な満足度(VAS)については、両グループ間に統計的に有意な差は見られませんでした(P値が0.05以上)。これは、デジタル義歯が従来型義歯と同程度の満足感をもたらす可能性を示しています。
一方、装着後24時間の時点では、デジタル義歯グループにおいて「発音のしにくさ」「味覚の変化」「食べ物を避けてしまう」という3つの項目で、従来型義歯グループよりも有意に高い負の影響が報告されました(P値が0.05未満)。
装着後1.5か月の時点では、これらのうち味覚や食事に関する項目はほぼ同水準に改善されましたが、「発音のしにくさ」だけはデジタル義歯グループで依然として有意に高い値が続いていました(P値が0.05未満)。
生活への示唆
今回の研究結果は、3Dプリンターを活用したデジタル義歯が、離島や山間部など歯科医院へのアクセスが難しい地域に暮らす高齢者にとって、有望な選択肢となり得ることを示しています。通院回数を4回から3回に減らせるという利点は、移動が困難な患者にとって特に意義深いと考えられます。
一方で、発音に関する課題が1.5か月後も残っていた点は注目に値します。研究者らは、コンピューター支援設計(CAD)の標準プロトコルに患者個人の特性に合わせたカスタマイズを加えることで、発音の問題を改善できる可能性を示唆しています。
なお、この研究はパイロット試験であり、サンプルサイズが比較的小さく(最終評価完了者が25名)、観察期間も1.5か月と短い点には留意が必要です。今後より大規模で長期的な研究によって、これらの知見がさらに検証されることが期待されます。
出典
Journal of Indian Prosthodontic Society(2026 Oct 01)
Digital versus conventional complete dentures: A randomized controlled pilot study of short-term patient satisfaction and quality of life within a mobile dental service setting.(PubMedで見る)
本記事は紹介した研究結果を分かりやすくまとめたものであり、特定の症状や病気に対する診断・治療を推奨するものではありません。健康上の不安がある場合は医師にご相談ください。本記事はAIによる翻訳・要約を活用して作成し、公開前に運営者が内容を確認しています。詳細は「制作プロセス開示」「免責事項」ページをご覧ください。
