職場での心理療法的相談は「感情的な負担」を和らげる可能性——ドイツの大規模試験から
仕事上のメンタルヘルスの不調を抱える従業員に対して、職場に特化した心理療法的相談(PT-A)を提供すると、2年後に感情的な職務要求の感じ方が和らぐ可能性があることが、ドイツで行われた無作為化対照試験の事後分析によって示されました。ただし、この結果は統計的な補正を行うと有意性が保たれなかったため、探索的な知見として位置づけられています。
何が分かったか
ドイツで実施された多施設共同の無作為化対照試験のデータを用いた事後分析により、職場向け心理療法的相談(PT-A)に参加した従業員は、通常のケアを受けたグループと比較して、2年後の時点で「感情的な職務要求」(仕事上で感情的なエネルギーを消耗すると感じる度合い)および「仕事と私生活の境界のあいまいさ(dissolution)」が低くなる傾向があることが示されました。一方、仕事量そのものに関する量的な負担や、意思決定の裁量・成長機会・職場のサポートといった「職務資源」については、両グループ間に明確な差は見られませんでした。なお、複数の検定を同時に行う際に必要な統計的補正(ベンジャミーニ・ホックバーグ法)を適用すると、感情的な負担や境界のあいまいさに関する結果も統計的有意性を保つことができなかったため、この知見は確定的なものではなく、今後さらなる検証が必要な探索的な結果として報告されています。
研究の概要——対象と方法
この研究は、ドイツ国内の複数の施設で実施された無作為化対照試験(RCT)のデータを用いた事後解析です。対象となったのは、週15時間以上の雇用契約を持ち、うつ病や不安障害などの一般的なメンタルヘルス上の問題(CMD)の症状または診断を有する550人の従業員です。参加者は1対1の割合で介入群と対照群に無作為に振り分けられ、1名が同意を撤回したため、介入群279名・対照群270名で試験が進められました。
介入群には、9か月間にわたって最大16回の「職場向け心理療法的相談(PT-A)」が提供されました。このプログラムには、仕事に関するアセスメント、職場問題に焦点を当てた認知行動療法、そして必要に応じた職場復帰支援が含まれていました。一方、対照群は基本的な臨床評価のみを受けました。職場の心理社会的環境(職務要求と職務資源)は、試験開始前と24か月後の2時点で測定されました。なお、これらの測定項目は当初の試験プロトコルでは主要アウトカムとして設定されておらず、今回の解析は事後的に行われたものです。最終的な解析には、両時点のデータが揃った231名(介入群137名、対照群94名、平均年齢46歳、女性55%)のデータが使用されました。
結果
重回帰分析の結果、介入群は対照群と比べて、24か月後の「感情的な職務要求」の得点が統計的に低い傾向にありました(回帰係数b=6.61、標準誤差SE=2.52、p値=0.009)。同様に、「仕事と私生活の境界のあいまいさ」についても介入群で低い傾向が見られました(b=5.05、SE=2.52、p値=0.047)。しかし、複数の検定を同時に実施することによる偽陽性のリスクを抑えるためのベンジャミーニ・ホックバーグ補正を適用した後では、感情的な職務要求の補正後p値は0.072、境界のあいまいさは0.164となり、いずれも統計的有意水準(一般に0.05未満)を超えてしまいました。数字の量に関わる「量的な職務要求」や、意思決定の裁量・成長機会・社会的サポートなどの「職務資源」については、両群間に統計的に意味のある差は確認されませんでした。
生活への示唆
この研究は、職場でのメンタルヘルス支援として提供される心理療法的相談が、仕事の量そのものを減らすわけではないものの、仕事上で感じる感情的な消耗感や、オフの時間にも仕事のことが頭から離れないといった状態を長期的に和らげる可能性を示唆しています。ただし、今回の解析は当初から計画されたものではなく探索的なものであること、統計的補正後には有意差が維持されなかったこと、また介入群と対照群でデータ欠損のパターンが異なる可能性があることなど、結果の解釈には慎重さが必要です。研究者らは、この知見を確認するための今後の前向き研究の必要性を強調しており、現時点では「職場での心理的サポートが感情的な負担の認識に影響を与える可能性がある」という仮説を支持する一つの手がかりとして受け止めることが適切でしょう。
出典
BMC public health(2026 Sep 21)
Changes in perceived psychosocial working conditions after psychotherapeutic consultation at work – exploratory post-hoc analyses from a randomized controlled trial.(PubMedで見る)
本記事は紹介した研究結果を分かりやすくまとめたものであり、特定の症状や病気に対する診断・治療を推奨するものではありません。健康上の不安がある場合は医師にご相談ください。本記事はAIによる翻訳・要約を活用して作成し、公開前に運営者が内容を確認しています。詳細は「制作プロセス開示」「免責事項」ページをご覧ください。
