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「年金分割」の受取は月額で平均3万円ほど

「年金分割」に夫の合意は不要。サラリーマンや公務員の妻で国民年金の「第3号被保険者」であれば、2008年4月以降の結婚期間については自動的に一律50%の権利が認められます。それでは、実際にどのくらいの年金が分割されているのでしょうか。



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厚生労働省によると、2012年度に離婚相手から厚生年金を分割してもらった人のうち、すでに年金を受け取っている人は平均して月額で約3万1,000円が上乗せされていました。ただし、年金を受け取れる年齢になっていない人は、これより少ないと見られます。

もし自分が離婚したら、サラリーマンの夫からどのくらいの年金を分割してもらえるのでしょうか。50歳以上かつ自分の年金加入期間が25年以上の妻は日本年金機構の年金事務所に申請して試算してもらえます。離婚前であれば、夫に知られずにこの手続きが可能です。

ところが、50歳未満の人に対しては対応が限られます。開示されるのは結婚期間の夫婦それぞれの「標準報酬総額」だけで、それが月々いくらの年金になるのかわかりません。事務所の相談窓口で試算を断られ、社会保険労務士に専門的な計算を依頼すると数万円の費用がかかることが多いのです。

おおまかな目安であれば、夫の誕生月に同機構から郵送される「ねんきん定期便」で試算できます。結婚以来ずっと第3号だった妻なら、まず夫が会社勤めで厚生年金の保険料を納めてきた年数のうち、自分との結婚年数がどれだけあるかの割合を算出。定期便から報酬比例部分に当たる金額を見つけてその割合を掛け、さらに半分にすればおよその自分の取り分になるのです。

結婚期間の年金50%は妻にとって守られた権利といえますが、離婚協議の実務では、あえて分割しないこともあります。夫が年金に固執するなら分割はせず、そのぶん妻への財産分与などを増やすよう交渉できるのです。本当にもらえるか不安のある将来の年金よりも、目の前のお金を取りたい妻には選択肢の一つになるでしょう。

2007年に始まった年金分割は離婚する妻にとって老後の支えになる制度。しかし、これによって離婚は増えたのでしょう。じつは熟年離婚が急増するとの予想に反して、その後の離婚率はさほど上がりませんでした。年金分割だけでゆとりある老後生活を描ける妻は少ない…という現実も肝に銘じておきたいところです。

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