ナイス!シニア
40代からの医療情報…現役看護師が監修

離婚の「年金分割」に夫の合意は不要だった

会社員や公務員である夫とその妻が離婚する場合、年金を受け取る権利を夫婦で分割できます。夫婦の話し合いで夫が年金分割を拒んでも、家庭裁判所に申し立てれば妻に50%の権利を認める決定が出るのが一般的です。



スポンサーリンク
pension1

司法統計によると、年金分割に関する家裁の審判は2012年度に1,650件あり、うち1,636件は制度上の上限である「50%」という決定でした。妻に不貞行為などがあっても家裁の判断には影響しません。

年金分割の制度そのものの立法目的は社会保障であり、個別事情も考慮する財産分与とは考え方が異なるからです。審判になればよほどの事情がない限り、妻が50%を受け取る可能性が高いといえるでしょう。

2008年4月に始まった年金の「3号分割」は夫の合意は不要。サラリーマンや公務員の妻で国民年金の「第3号被保険者」であれば、2008年4月以降の結婚期間については自動的に一律50%の権利が認められます。

経済的な不安で離婚をためらっている妻にとっては心強い制度ですが、分割される年金はサラリーマンの厚生年金、公務員などの共済年金のうち収入に応じて保険料を納める「報酬比例部分」だけ。夫の受け取る年金全体の50%をもらえると誤解している人も多いようです。

夫が自営業ならそもそも分割する年金がありませんし、夫が厚生年金に上乗せして受け取る「厚生年金基金」も対象にはなりません。共働き夫婦の場合、それぞれの報酬比例部分を「足して2で割る」という考え方に基づいて多い方から少ない方に分割します。妻が夫よりも稼いでいれば、妻の年金はむしろ減ってしまいます。また、3号分割の権利は専業主夫など第3号被保険者の夫にもあるのです。

この記事をシェアする


あわせて読みたい記事